著者プロフィールは、読者にとって「この本が信頼できるかどうか」を判断するための最初の材料です。
特に自費出版やZINEなどでは、読者との接点が少ない分、プロフィールが“著者の人柄や専門性”を伝える唯一の手段になります。
書籍の著者プロフィールで書くべきこと
・どんな経験や環境からこの本を書こうと思ったのか
・本のテーマに即した活動実績
・個人的なエッセンス
この3つが、読者に著者の信頼感と本への共感を与えるからです。
とはいえ、信頼感や共感を得るために、すべてをさらけ出す必要はありません。実名や勤務先などの詳細までは必須ではなく、「この本の内容と著者がどうつながっているか」が伝われば充分です。
「読み手は書き手のことをまだ何も知らない」という前提で書くと、いいでしょう。
自費出版の場合、著者が自分でプロフィールを書きます。
編集者がプロフィールを書いたり、手直しするケースが多い商業出版に比べて、自費出版は1から10まで全て著者にかかってきます。
本作りにおいて、本文の執筆より悩む人も多いのがこの著者プロフィールです。
なぜなら、自分の伝えたいことは書けても、自分を客観的に表現することは意外と難しいからです。
自費出版における著者プロフィールで、ありがちな残念な書き方はこの3つです。
① 自分のことだから控えめに書いてしまう
② 想いが強すぎて客観性に欠ける
③ 全経歴を書こうとしてしまう
詳しく解説します。
著者プロフィールは「読者のための情報」です。謙遜や遠慮から控えめに書くと、伝わるべき実績や強みがぼやけてしまいます。大切なのは「盛る」ことではなく、客観的事実を言葉と数字で示すこと。たとえば「レシピをたくさん作った」ではなく「300品以上のレシピを開発、500人に教えた」と表現するだけで、説得力が変わります。
本を通して伝えたい情熱の高い人は、客観性に欠けることもあります。自分のプロフィールではなく、読者へのメッセージのようになるケースが多いですが、それは本文に譲ってプロフィールは自分の実績とキャラクターを表すものに絞りましょう。
「高校卒業後に進学」「就職・転職・結婚・出産・復職・転勤・移住…」と、人生のライフイベントを時系列で全て網羅しようとします。さらにライフイベントと活動実績を紐づけて説明しようとするため、結果として「読みづらくて伝わらない」プロフィールになってしまいます。全てを書こうとせず、要点を絞りましょう。
では、失敗しないプロフィールを書くにはどうしたいいのでしょうか?
著者プロフィールの書き方にはルールがあります。ポイントはルールを守りながら、自分らしさや他との差別化を打ち出すこと。ではさっそく、書いてみましょう。
書籍の場合、紙幅が限られているため、文字数に限りがあります。
150文字から多くて400文字程度です。
・名前(実名でもペンネームでもOK)
・生年
・出身地
・現在の職業や肩書き
・過去の実績(経歴や業績、執筆の背景
・未来へのビジョン(ポリシーやミッション)
・プライベートな情報(趣味や好きなこと、意外な特技
・これまでの著作やメディア出演実績、受賞歴 など
しかし、最近では生まれ年や学歴、経歴などは書かないケースも。
SNSで活動しているインフルエンサーのなかには、書籍でもSNSと同じプロフィールを使用するケースがあります。「ファン買い」が見込まれる場合、新たな読者向けの詳細なプロフィールをあえて設けず、既存の世界観を崩さないのも選択肢の一つ。
順番は上の項目通りでOK。
しかし、受賞歴や大きな業績を上げた場合は、インパクトのある肩書きにしてもかまいません。
例)
山田花子
2000年.京都生まれ。
作家。○○賞受賞。
2020年、『黒猫がねころんだら』で○○賞受賞。
山田太郎
2000年生まれ。東京都出身。
ユニコーン起業家。
2020年、〇〇株式会社を創業し、時価総額1000億円超のユニコーン企業に成長させた。現在は〇〇のCEOとして、△△業界の変革に取り組む。
最後に、SNSやWebサイトのURL、QRコードなどを掲載しておくと、読者が著者の活動をより詳しく知るきっかけになります。
生年や出身地は、日本の出版文化において、読者との距離感を測る「物差し」として慣例的に使われてきました。
ただし最近では、プライバシーの観点から書かない著者も増えています。
特に、SNSなどですでにファンがついている場合は、「プロフィールはすでに知られている」前提で書かれることもあります。
一方、初の自費出版でまだ知られていない場合は、プロフィールが「出会いの入口」になるため、ある程度の自己開示をしたほうが読者に安心して読んでもらえる効果があります。
これらに掲載されることで、著者情報はインターネット上にも公開され、世界中の読者が目にする可能性があります。