自分で本を作る

自費出版でアート本を作るときに知っておくべき無料で使えるパブリックドメイン

2026-01-07
アート本の著作権ガイド:作品掲載の基本ルールとパブリックドメイン

アート本を作るとき、立ちはだかるのが絵画などの作品画像を「掲載したいけど、どうしたらいい?」という疑問。

この疑問をクリアにしないと、せっかくの自費出版が、後で大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。まずは、根本的な「著作権」から、分かりやすくひも解いていきましょう。

目次

著作権(Copyright)とは、「作品を作った人(著作者)の努力と才能を保護するための権利」です。

絵画、小説、音楽、写真など、創作的な表現全てが対象になります。

この権利があることで、他人が勝手にコピーしたり、利用したりするのを防ぎ、著作者は作品から報酬を得ることができます。

アート作品の場合、著作権は通常、著作者が亡くなった後もしばらく存続するのがポイントです。

「著作権」と「使用料」について

自費出版で本を作りたい人にとって、著作権のクリアはもちろん、一番気がかりなのは使用料です。

  • お金がかかるか・かからないか
  • 許可が必要か・不要か

簡単にいうと

  • 著作権が切れている:誰でも無料で使える
  • 著作権が切れていない:著作権者の許可と使用料が必要

ということになります。ただし、一部例外もあるので、順を追って説明してきます。

「パブリックドメイン」とは?

著作権には必ず期限があります。この期限が過ぎて、著作権が消滅した作品は、「パブリックドメイン(Public Domain, PD)」となります。

パブリックドメインになった作品は、人類共通の財産となり、原則として誰でも無料で、許可なく自由に利用(商業利用も含む)できるようになるのです。

日本と世界の著作権保護期間

著作権が切れるまでの期間は、国や時代によってルールが異なります。

著作権保護期間(目安)
日本 著作者の死後70年
アメリカ合衆国 作品が公開された時期や形式で異なりますが、多くの場合は「死後70年」または「公開から95年」などです。
EU諸国 著作者の死後70年

アート作品がパブリックドメインになっているかどうかは、この「**死後70年**」というルールが基準になります。

日本は2018年まで著作権が「死後50年」だったので、海外ではパブリックドメインではないが、日本ではパブリックドメインとなっている作品があります。

無料で使える有名作家リスト

アート本制作の大きな助けとなる、著作権が切れてパブリックドメインになっている主要な作家の例をご紹介します。

著作権が切れている作家(作品がPD) 没年(死後70年以上経過)
フィンセント・ファン・ゴッホ 1890年
クロード・モネ 1926年
アンリ・マティス 1954年
レオナルド・ダ・ヴィンチ 1519年
フィンセント・ファン・ゴッホ「ひまわり」

フィンセント・ファン・ゴッホ「ひまわり」1889〜1890年、油彩/キャンバス フィラデルフィア美術館

クロード・モネ〈睡蓮〉

クロード・モネ〈睡蓮〉1906年、油彩/キャンバス、89.9×94.1 シカゴ美術館

アンリ・マティス〈Nu assis, fond bleu〉

アンリ・マティス〈Nu assis, fond bleu〉油彩/キャンバス、46×38.1

レオナルド・ダ・ヴィンチ〈モナ・リザ〉

レオナルド・ダ・ヴィンチ〈モナ・リザ〉 1503〜1506年 油彩/板 ルーブル美術館
© 2018 GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Michel Urtado

無料では使えない有名作家リスト

逆に、まだ著作権が有効で、商業利用には原則として許可が必要な作家もいます。

著作権がまだ切れていない作家 没年(死後70年未満)
パブロ・ピカソ 1973年
アンディ・ウォーホル 1987年
キース・ヘリング 1990年
ジャン=ミシェル・バスキア 1988年

これらの作家の作品を本に掲載したい場合は、日本では日本美術著作権協会(JASPAR)に連絡を取り、必ず**利用許可(ライセンス)を得て、利用料を支払う**必要があります。

「パブリックドメイン」なのに自由に使えない作品

「パブリックドメインだから、自由に使える!」

これは半分正解で、半分間違いです。ここが一番難しいポイントです。

【大原則】

  • 著作権が切れているのは「**絵画作品そのもの**」
  • 著作権が切れていない可能性があるのは「**その絵を撮影した写真(画像データ)**」

たとえゴッホの絵(PD作品)であっても、美術館が所有し、プロが撮影した「高画質の画像データ」には、美術館独自の利用規約が存在するのです。

ブログやSNSと「書籍出版」の違い

ブログやSNSでは、パブリックドメインはもちろん著作権が切れていないアート作品も当たり前のようにアップされています。

ブログやSNS(非商業的利用、または宣伝目的)の場合

報道目的や、適切な「引用」の範囲内であれば許容されるケースが多いです。

書籍を出版する場合(商業利用)

商業出版・自費出版:商用利用

著作権が切れていない作品を許可なく使えば、間違いなく著作権侵害となり、損害賠償を求められるリスクがあります。

まとめ:無料で使えるかどうかは著作権次第

自費出版で本を作りたい人は、商用利用になるため著作権の確認はもちろん、どこからその画像データを入手したか、入手先の**利用規約をしっかり確認する**必要があります。