出版体験談

商業出版で分かったより深いニーズに応えるために、自費出版を決意。自分で本を作るハードルはゼミと仲間の伴走

2025-12-18

19年のキャリアを持つ図書館司書として、これまでに800冊以上の英語児童書を読んできた「選書のプロ」なか なかこさん。すでに『マジカルチャプターブックガイド 中学英語で読める海外児童書の世界』も商業出版しています。多読のリクエストに応え、21世紀以降の現代作品に絞ったブックガイド『現代英語児童書ベストセレクション』を本を作るアプリBookoを活用して自費出版。

なぜ、商業出版ではなく自費出版を選んだのか。そして、多くの英語学習者が陥る「何から読めばいいかわからない」という壁を、Bookoという環境でどう解決していったのか。その舞台裏を伺いました。

「今の世界」を伝えるために選んだ「自分で出版」

なかこさんが今回こだわったのは、あえて「21世紀以降の現代作品」に絞って紹介することでした。かつての名作も素晴らしいけれど、今の子供たちが生きる多様な世界、ジェンダーや移民家庭といったリアルなテーマを描く物語こそ、今の時代に必要だと感じていたからです。

「今の英語児童書は、かつての名作とは描かれている世界がまったく違います。英語を身につけるための教材としてだけでなく、今の世界で何が起きているのかを知る入口にしてほしい。そのために、21世紀の空気感を持つ作品を厳選しました」

こうした特定のニーズに特化した「尖った企画」は、広く一般に売ることを求められる商業出版では、テーマが絞られすぎてしまうことがあります。自分の信念に基づいた120冊を、純度の高いまま形にしたい。その自由度こそが、なかこさんが自費出版を選んだ最大の理由でした。

Bookoの本づくりが継続できる環境がフィット

自費出版にはKDP(Kindle出版)などの選択肢もありましたが、なかこさんはBookoを選びました。その決め手は、蔵本貴文さんも語っていたように「オンラインゼミを通じた仲間の存在」でした。

「Bookoで一番良いところは、そのシステムよりも、オンラインゼミを通じて仲間と交流しながら進められることです。他のメンバーの努力を見ていると、自分もやらねば、という勇気をもらえます」

19年のキャリアを持つプロであっても、一冊の本を書き上げる作業は孤独で、時に迷いが生じるものです。そんな時に「伴走してくれる環境」があることが、完走への大きな助けとなりました。

プロの視点と仲間の刺激が「完走」の鍵

執筆のプロセスでは、プロの編集者によるフィードバックも大きな役割を果たしました。単なるブックガイドではなく、読者が自分の実力に合った一冊を見つけられるよう、英検やTOEICの目安に合わせた6段階のレベル別で整理するというアイデアも、こうした対話の中で磨かれていきました。

「どれを読めばいいか迷っている方のために、司書の視点で『間違いのない本』をナビゲートしたかったんです。仲間の進捗を聴き、お互いに刺激し合える環境がなければ、完成までたどり着けなかったと思います」

一人では力尽きていたかもしれない作業も、ゼミという場所があったからこそ、自信を持って世に出せる「信頼できる一冊」へと仕上がりました。

大人の「英語学び直し」に新しい定番を

出来上がった本は、子供たちだけでなく、かつて英語を学んでいた大人たちからも大きな反響を呼んでいます。難しい計算や暗記はいったん脇に置いて、まずは気になる物語を手に取ってみる。なかこさんは、その「楽しさ」を大切にしています。

「『わからなくてもいい、感じるだけでいい』という入口が大切だと思うんです。本を通じて、自分の経験や知識を形にすることはやった人でしかわからない感動と成長があります。気になっている人は、ぜひ一度体験してみて下さい」

  • 書籍名現代英語児童書ベストセレクション
  • 著者名なか なかこ
  • 出版社Booko出版
  • 発売日2025年6月26日
  • 価格1,818円+税
  • 仕様114ページ / モノクロ